毎日のように利用するカーポートは、単に愛車を守るだけでなく、厳しい自然環境にも耐えうる堅牢さが求められます。
特に、近年増加傾向にある台風や局地的な強風による被害を考慮すると、設置する地域の風圧リスクを正しく理解し、それに対応できる製品を選ぶことが極めて重要です。
しかし、カーポートの耐風圧強度に関する表示は難解に感じられることも少なくありません。
今回は、お住まいの地域に合わせた最適なカーポート選びのために、風圧基準の基礎知識から、具体的な製品選定のポイントまでを分かりやすく解説していきます。
カーポート設置地域の耐風圧基準を知る
基準風速(Vo)は地域ごとに決定
カーポートの耐風圧性能を理解する上で、まず基盤となるのが、設置場所の「基準風速(Vo)」です。
この基準風速は、建築基準法に基づいて定められており、日本国内では地域ごとに異なる値が設定されています。
これは、地域が持つ地理的条件、例えば海岸に近いか内陸か、山間部か平野部かといった地形的特性や、過去に観測された最大風速、さらには緯度といった要因を総合的に考慮して決定されるためです。
例えば、台風の通り道になりやすい地域や、地形によって風が集中しやすい地域では、基準風速の値が高く設定される傾向にあります。
ご自身の居住地域がどの基準風速(Vo)に該当するかを把握することは、後述するカーポートの耐風圧強度選定における最初の重要なステップとなります。
基準風速(Vo)と風圧強度の関係性
基準風速(Vo)とカーポートに作用する風圧強度との間には、密接な相関関係が存在します。
風圧強度は、風速の2乗に比例して増大するという物理法則に基づいています。
つまり、基準風速が高く設定されている地域では、それだけ強い風が吹く可能性が高いと想定され、その結果としてカーポートに及ぼす風圧も格段に大きくなります。
この基準風速(Vo)を基にして、建築物や構造物、そしてカーポートのような付属建築物に対して、どれだけの風荷重(風の力)に耐えうるべきかという「風圧強度」が算出されます。
したがって、基準風速の値を知ることは、その地域で想定される風の強さを具体的にイメージし、それに十分耐えうる設計がなされたカーポートを選ぶための前提条件となるのです。

地域に合ったカーポートの耐風圧強度を選択
カーポートの耐風圧強度は〇〇m/s相当で表示
市販されているカーポート製品の耐風圧強度は、通常「〇〇m/s相当」という表記で示されています。
この「〇〇」に入る数値は、そのカーポートが耐えうる瞬間風速を表しており、例えば「耐風圧強度46m/s相当」といった表示が一般的です。
これは、そのカーポートが、瞬間的に最大で風速46メートル毎秒の風に耐えられるように設計・試験されていることを意味します。
この数値は、前述した基準風速(Vo)とは異なり、製品ごとの性能を示す指標となります。
メーカーは、JIS規格や独自の試験基準に基づき、この耐風圧強度を公表しており、消費者が製品の強さを比較検討する際の重要な目安となります。
居住地の基準風速を満たす製品を選択
実際にカーポートを選定する際には、お住まいの地域の基準風速(Vo)を把握した上で、その数値を上回る耐風圧強度を持つ製品を選ぶことが肝要です。
例えば、お住まいの地域が基準風速30m/s(Vo=30m/s)と定められている場合、最低でも「耐風圧強度30m/s相当」以上の製品を選ぶ必要があります。
しかし、近年では予測困難な局地的な強風や、過去の基準値を超えるような突発的な暴風に見舞われるケースも少なくありません。
そのため、安全性をより高めるためには、基準風速よりも数ランク上の耐風圧強度を持つ製品、例えば46m/s相当や55m/s相当といった製品を選ぶことを強く推奨します。
これにより、万が一、想定以上の強風が吹いた場合でも、カーポートの破損リスクを大幅に低減させ、大切な車とご家族の安全を守ることができます。
まとめ
カーポートの耐風圧性能は、設置地域の基準風速(Vo)と製品の耐風圧強度(〇〇m/s相当)の関係を理解することで、適切に選定することができます。
地域ごとに異なる基準風速は、その土地で想定される風の強さを示しており、製品に表示される耐風圧強度は、その製品が耐えられる風速を示しています。
安全のためには、居住地の基準風速を上回る耐風圧強度を持つ製品を選ぶことが不可欠であり、さらに余裕を持って、より高い耐風圧強度を持つ製品を選ぶことで、不測の強風に対する備えを万全にすることができます。
これらの情報を基に、ご自身の地域に最適なカーポートを選び、安心してカーライフをお送りください